今回は睡眠薬についての記事だよ
ハッパくんは睡眠薬を使うことはある?
僕はあんまり使わないかな
そっか
それじゃあ睡眠薬にもいろんな種類があるっていうのは知ってる?
え?睡眠薬って飲むと眠たくなるだけでしょ?
そんなにたくさん種類があるものなの?
実は睡眠薬にも作用の仕組みなどによって分類分けされているんだよ
ということで今回は睡眠薬について
- どんな種類があるのか
- どういう仕組みで眠くなるのか
- どんな副作用があるのか
- どういった場所で使われるのか
といったことについて解説していくよ
ちなみに今回の記事では市販薬については触れていませんが、こちらの記事の最後らへんで解説していますので興味があればのぞいてみてください
あまり使うことはないかもしれないけれど、知っておいて損はないかもね!
目次 とじる
バルビツール酸系
概要
バルビツール酸系睡眠薬はバルビツール酸という物質を基礎構造に持つ化合物の一群を利用した睡眠薬で、中枢神経の抑制作用1があります
催眠効果は大変強く、発見当時としては飲みやすかったことからひろく普及し、しばらくはバルビツール酸系の化合物が競うように合成されました
しかし常用量と中毒量の差が少なく依存症になりやすいことや、薬に対する耐性が比較的早く形成されてしまうことが問題になりました
そのため現在では向精神薬条約1によって医療や学術目的以外の使用を禁止されています
依存性が強いこともあり、発売された当時は乱用する人が多く「睡眠薬遊び」と言われる睡眠薬を用量を守らずに使ってトリップする遊びに使われました
また、普通に市販されていたため手軽に手に入ったこともあり、自殺に用いられることもありました
かの芥川龍之介やマリリンモンローもベロナールと呼ばれるバルビツール酸系の睡眠薬の多量摂取によって命を落としたとされています
芥川さんは遺書にて自殺の理由を「将来に対する唯ぼんやりとした不安」であると語っています
これは現代に生きる私たちにも付きまとう感情であり、この感情が何かに依存する発端となる可能性があるので同じ轍を踏まないよう気を付けたいですね
作用の仕組み
バルビツール酸系の成分がGABAA受容体1と呼ばれるタンパク質に働きかけ、細胞内への入り口のような役割を果たすイオンチャネルという部分が開く頻度や時間を増やすことでGABAがより強く働くようにします
GABAには神経細胞の活動を抑える作用やノルアドレナリンというアドレナリンの材料となる物質の生成を抑制する作用があるため、その効果が増強されることによって眠気を催します
GABAA受容体はGABAがくっつくことで働く受容体ですが、実はGABA以外の一部の物質も同じようにくっつくことができます
バルビツール酸系の成分はその1つであり、GABAA受容体にくっつくことで催眠効果をもたらすことができています
このように、受容体とペアになっているGABAのような成分を「リガンド」、バルビツール酸系のようにリガンドの代わりとなって働く成分を「アゴニスト」と呼びます
GABAは最近「リラックス効果のある物質」として有名になりましたが、睡眠薬への利用はずっと前から始まていたんですね
非バルビツール酸系
概要
バルビツール酸系の依存性や中毒性を問題視して合成された化合物を使ったタイプの睡眠薬です
こういった背景から作られた薬なので、その成分もバルビツール酸を持たないもので構成されています
主な製品としてはハイミナールやコンテルガンといったものがあります
バルビツール酸系の問題点を克服するために作られたものの、それはかなわず新たな問題点も現れました
まず、ハイミナールには強い催眠作用と依存性があったことから、当時の若者の間で「睡眠薬遊び」という遊びに使われました
これはハイミナールを用量を守らずに使うことでトリップする遊びで、当時大きな問題になりました
一方コンテルガンにも大きな問題がありました
コンテルガンにはサリドマイドと呼ばれる成分が使われていたのですが、このサリドマイドには催奇形性1があったのです
当時コンテルガンはつわり止めとして効果があるといわれていたので多くの妊婦が服用しており、それによって日本を含め世界中でサリドマイドによる被害が拡大しました
この出来事は「サリドマイド事件」として広く知られています
こういった背景もあり、非バルビツール酸系の成分のほとんどが向精神薬条約の規制対象となっており、もちろん市場にも出回っていません
痛ましい事件を引き起こしたサリドマイドですが、現在では多発性骨髄腫などの難病への効果が認められて治療に用いられることもあるそうです
ベンゾジアゼピン系
概要
ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン骨格という構造を基礎として持つ化合物を用いた睡眠薬です
バルビツール酸系や非バルビツール酸系よりも依存性や中毒性が弱かったことからそれらに代わって普及しました
しかしそういったデメリットを完全に克服できたわけではなく、1960年代に発売された際には乱用による死亡や自殺に用いられるといった事態となったことから現在では向精神薬条約によって規制されており、医師の処方が無ければ入手することはできません
主な製品としてはトリアゾラムという成分を使用したハルシオンが知られています
ハルシオンは効果が表れるまでの時間がとても早く、依存性も高かったことから自殺やトリップを目的に乱用されて問題となりました
世界各国ではその危険性から使用の中止などが行われていますが、日本では医療目的での使用はいまだに認められています
それもあって、ハルシオンの消費量の実に6割が日本によるものなのだそうです
ハルシオンの名前の由来はギリシャ神話に登場するアルキュオネーという女性がカワセミ(halcyon bird)になった話にあるそうです
非ベンゾジアゼピン系
概要
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン骨格を持たないにも関わらずベンゾジアゼピン系に似た作用や副作用を持った化合物を使った睡眠薬です
ベンゾジアゼピン系の副作用をなくすことを目的に作られた睡眠薬で、具体的な製品には
- ゾルピデム酒石酸を使ったマイスリー
- ゾピクロンを使ったアモバン
- エスゾピクロンを使ったルネスタ
などがあります
このうちマイスリーとアモバンについては30日間の処方制限2がかけられていますが、ルネスタについては制限されていません
ベンゾジアゼピン系と比較して副作用は軽減されましたが、市販できるレベルとまではいかず、向精神薬条約の規制対象となっています
しかし医療の現場では活躍しており、服用した際に起こるふらつきなどが軽減されたこともあって、お年寄りに多く処方されることが多いそうです
作用の仕組みはGABAA受容体に働きかけることで眠気を誘うというもので、前章までで紹介してきたものと同じです
マイスリーの名前の由来は「My sleep」で、最後の「P」をとって「My slee」となったそうです
アモバンの名前の由来は「あ、もう晩だから眠ろう」から「アモバン」となったそうです。冗談みたいですね。
ルネスタの名前の由来は「Luna star」からで、「月や星を見ることなく眠れる」というような意味なのだそうです
まとめ
ここまでいろいろな種類の睡眠薬についてざっくりと解説してきたけどどうだった?
睡眠薬はあまり使ったことがなかったけれど、想像以上にたくさんの種類があって驚いたよ!
同じような働きをする薬でも副作用なんかは全く違うからおもしろいよね
おもしろいと言えば薬の名前もユニークなものが多かったね!
そうだったね。ハッパくんのお気に入りはどれ?
ハルシオン!かっこよくてキレイな名前だと思うよ!
名前の由来とかは面白かったけど今回紹介してくれたものは今では市販されていないものばかりだからあんまり参考にはならないかも・・・。
市販されている睡眠薬はどんな種類の物なの?
それについては冒頭でも紹介したこの記事で解説しているよ
そうなんだ!早速のぞいてみるよ!
ということで今回の記事は以上になります!
このサイトでは健康に関する様々な情報を掲載していますので、良ければ他の記事ものぞいてみてください!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
それじゃあまたね!