今回も睡眠薬についての記事だよ
たしか前回も睡眠薬の記事だったけど、もう市販されてない薬の紹介ばかりであまり参考にならなかったんだよね
そうだったね。だから今回はいよいよ市販薬の解説もするよ
「解説『も』」ってことはまた市販されてない薬についても解説するの?
市販薬以外の薬については別に聞きたくないんだけど
・・・・・・。
ということで今回は睡眠薬について
- どんな種類があるのか
- どんな仕組みで眠くなるのか
- 副作用はどんなものがあるのか
- 現在はどこで使われているのか
といったことについて解説していくよ
・・・・・。
目次 とじる
メラトニン受容体作動薬
概要
メラトニン受容体作動薬はラメルテオンと呼ばれる成分がメラトニンと呼ばれる成分の受容体に働きかけることで眠気を催すタイプの睡眠薬です
従来の睡眠薬はGABA受容体に作用するものが主だったため比較的珍しいタイプになります
GABA受容体に作用するタイプに比べて依存性や中毒性が低い他、せん妄症状1の改善効果などがあるとされ、比較的安全な睡眠薬とされています
しかし副作用がないわけではなく、使用に伴って起こるプロラクチンと呼ばれるホルモンの増加によって月経異常や性欲減退が起こる他、うつ病の悪化などが起こる危険性があります
ただ、うつ病の悪化に関しては実験の規模が小さいことから信憑性が高いとは言えず、あくまでも保険的にうつ病患者への使用を禁止している状態なのだそうです
また、うつ症状の改善薬2に含まれるフルボキサミンと呼ばれる成分がラメルテオンを代謝するのに重要な酵素であるCYP1A2の働きを阻害してしまい、ラメルテオンの作用が強く現れてしまう為それらとの併用は禁忌とされています
メラトニン受容体作動薬の主な製品としてはロゼレムがあります
ロゼレムの名前の由来は「ROSE REM」で、意味合いとしては「バラ色の眠り」となります
作用の仕組み
メラトニン受容体作動薬はメラトニンと呼ばれる成分の受容体に働きかけることで眠気を催す睡眠薬です
メラトニンというのは体内で合成されるホルモンの一種で、メラトニン受容体に作用することで脈拍や体温などを低下させ、眠気を催します
その他にも生体リズムと呼ばれる、人間が活動しやすいように時間帯に応じて体の状態を自律的に変化させていく仕組みを整える作用もあるとされています
ラメルテオンはこのメラトニンの代わりにメラトニン受容体に結合し、同じような作用を示すことで、催眠作用や睡眠習慣の改善といった効果を発揮します
このように普段体の中で利用されている成分の代わりとなって働く物質をアゴニストと呼びます
生体リズムは人間の活動を左右するものなので、それを調節するメラトニン受容体作動薬は「人間の自然な眠りを促す薬」と言えます
オレキシン受容体拮抗薬
概要
オレキシン受容体拮抗薬はオレキシンと呼ばれる成分の受容体に働きかけることで眠気を催すタイプの睡眠薬です
GABA受容体に作用するタイプに比べて作用の仕組みが違うことから、長期的な使用をしても比較的安全とされており、離脱症状3が確認されていないことから比較的安全な睡眠薬とされています
ただ副作用がないわけではなく、乱用の危険性や翌日への眠気の持越し、全身の疲労感などがあります
また、病院などで処方されることの多いクラリスロマイシンという抗生物質やグレープフルーツがCYP3A4というスボレキサントの代謝にかかわる酵素の働きを阻害するためそれらとの併用は禁忌とされています
また、スボレキサントの性質上ナルコレプシー患者への使用はできません
具体的な製品としてはベルソムラが知られています
ベルソムラの名前の由来は「belle somnia」で、意味合いとしては「美しい眠り」となります
作用の仕組み
オレキシン受容体拮抗薬はオレキシンと呼ばれる成分の受容体に働きかけることで眠気を催すタイプの睡眠薬です
GABA受容体作動薬(バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系など)やメラトニン受容体作動薬がGABAやメラトニンといった催眠作用のある成分の代わりを果たすことで眠気を発生させたのに対して、オレキシン受容体拮抗薬はオレキシンの持つ覚醒作用を抑制することで眠気を誘発します
オレキシンは体内で合成されるペプチドで、オレキシン受容体に作用することで覚醒や食欲に関与していると言われています
ナルコレプシー患者はこのオレキシンが不足しているといわれているため、その働きを阻害するスボレキサントをナルコレプシー患者に使用することはできません
このように普段体の中で利用される成分の代わりに受容体に作用してその働きを阻害する物質をアンタゴニストと呼びます
普通の睡眠薬が「眠くする薬」ならオレキシン受容体拮抗薬は「起きづらくする薬」というわけですね
抗ヒスタミン薬
概要
抗ヒスタミン薬はヒスタミンと呼ばれる成分の受容体に作用して眠気を催すタイプの薬です
抗ヒスタミン薬は実は睡眠薬ではなく睡眠改善薬と呼ばれており、睡眠薬に比べて安全性が高いことから市販が許可されています
しかし副作用がないわけではなく、口の渇きや動悸、せん妄症状などがあります
また、抗ヒスタミン薬の主成分の一つであるジフェンヒドラミン塩酸塩にはコリンの働きを抑制して毛様体筋を弛緩させることで眼圧を高める危険があることから閉塞隅角緑内障患者の方の使用はできません
また、ヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす物質であり、抗ヒスタミン薬は本来そのアレルギー反応を抑えるための薬ですが、その副作用として催眠的な効果が現れるためそれを利用して睡眠改善薬として販売されています
市販薬としてはジフェンヒドラミン塩酸塩を使用したドリエルが知られています
また、同じ成分を使ったレスタミンコーワ糖衣錠というアレルギー薬も販売されており、ドリエルと比較して成分量あたりの価格が低くなっています
ドリエルの名前の由来は「Dream well」からきており「よい眠り」というような意味合いになります
レスタミンコーワ糖衣錠の名前の由来については調べてもわからなかったです
私としては「resist」と「histamine」を合わせたものではないかと勝手に思っています
作用の仕組み
抗ヒスタミン薬はヒスタミンと呼ばれる成分の受容体に作用して眠気を催すタイプの薬です
ヒスタミン受容体は現在、H1型、H2型、H3型、H4型の4種類が確認されており、ジフェンヒドラミン塩酸塩はこのうちのH1型受容体に作用します
H1型受容体は中枢神経にも存在しており、ヒスタミンが中枢神経に存在するH1型受容体に作用することで覚醒、興奮作用を示すため、その働きを阻害することで眠気を催します
もともと抗アレルギー薬として使われていた成分の副作用を利用したものだから市販できたわけですね
まとめ
今回は3種類の睡眠薬についての解説だったけどどうだった?
やっと市販品の話が聞けてうれしかったよ!
そうだったね
でも市販されてるのは「睡眠薬」じゃなくて「睡眠改善薬」なんだよね
そうそう。基本的に市販されているものはジフェンヒドラミン塩酸塩を使った睡眠改善薬なんだ
ジフェンヒドラミン塩酸塩はもともと抗アレルギー薬に使われる成分だったんだよね
そうだったね。だからドリエルなどの睡眠改善薬を買うよりもレスタミンコーワ糖衣錠などの抗アレルギー薬を買った方がお得だったりするんだ
よーし!あんまり使わないけど「お得」って言葉に弱いからレスタミンコーワを50個買うぞ!
・・・・・。
ということで今回の記事は以上になります!
このサイトではこのほかにも健康に関する様々な記事を投稿していますので良ければのぞいてみて下さい!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
それじゃあまたね!